今回は、以前ホラーイベントで聞かせていただいた怖い話を思い出しながら書いていきます。
聞いた当初かなり怖い話だなと思っていたのですが、だんだんと話を忘れてしまい…。
このまま忘れてしまうのはもったいないと思い、記録のために投稿します。
それでは、行ってみましょう。
保育士の体験談
これは保育士の女性が体験した話です。
その女性をAさんとします。その年、Aさんは4歳児の保育担当をしていました。
Aさんが勤めていた保育園は、特に曰くと言われるようなものはなく、ただ歴史は比較的あるような地域に根差した保育園だったそうです。
4歳児クラスには、両親のお迎えが遅い女の子がひとりおり、毎日その子を最後に見送るようになっていました。
その子をBちゃんとします。Bちゃんの両親は共働きで、毎日仕事終わりのお母さんが迎えに来たそうです。親子関係も良好で、毎日迎えに来たお母さんに、笑顔で飛びつくような、活発な子でした。
梅雨の時期に入ったある日、親のお迎えを待つ子どもたちの中でBちゃんの様子が気にかかるようになりました。
親のお迎えを待つ子どもが1人減り、2人減り・・・とみんなが家に帰っていく中、残り3~4人となったくらいから一人みんなの輪から抜け出し、一人でいるようになることが増えてきたのです。
一人になってからの行動は様々で、ひとりで絵を描いているときもあれば、ブロックで遊んでいたり、じっと窓の外を見つめるときもありました。
お友達と遊んでいる様子は変わらず活発で、お母さんが迎えにくるとぱっと笑顔になって飛びつく様子も変わることはなかったので、Aさんは気にかかりながらも何も言えずにいました。
そんな様子が一週間ほど続いたころ、Aさんはじっと教室の出入り口付近に立ち、じっと廊下を見つめるBちゃんに声を掛けます。
「Bちゃん、どうしたの?」
Bちゃんは答えます「誰か、いるよ」
「誰かって、誰かな」
Bちゃんは何も言いません。じっとどこかを見つめるばかりです。
その日はそのあとすぐにお迎えが来たので、詳しく聞くことはできませんでした。
その数日後、床にじかに座り、一人で絵を描いているBちゃんを見つけたAさんは、その背中に声を掛けます。
Bちゃんは、画用紙とクレヨンでお絵かきをしているようでした。
「Bちゃん、お絵かきしてるの?」
Bちゃんはこちらを振り向くことなく、短く答えます。「うん」
Aさんはさらに聞きます。「何を書いているの」
Bちゃんは答えます。「透明のおじさん」
Aさんは怖くなりました。Aちゃんの横に移動し、その絵を見ようとします。
すると、Bちゃんはスイッチが入ったように急に灰色のクレヨンを手につかむと、画用紙を塗りつぶさんばかりにぐるぐる、ぐりぐりと灰色のクレヨンで渦を描きます。
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐりぐり、ぐりぐり
AさんはBちゃんの肩をつかみ、止めようとしますが、その力は強く止まりません。
Bちゃんは画用紙から目を離さず、一切Aさんと目が合いません。
AさんはBちゃんの横顔に向かい、少し大きな声を出してしまいました。「何描いてるの!」
「わしや」
男性の声でした。
Aさんの視界には、Bちゃんの横顔と、Bちゃんを挟んだ向かい側、Bちゃんの顔からにゅっと出てきたような、半透明の男性の顔が見えたそうです。
白いものを半透明にしたら、見ようによって灰色に見えますよね。
驚いて一歩後ずさり、一瞬視線をずらした時には、もうその顔はありませんでした。
Bちゃんはというと、後ずさったAさんを不思議そうに見つめており、その様子は普段と変わらないものに戻っていました。
その日以降、急に一人でいるような気になる行動をすることもなく、卒園していったそうです。
Aさんには、ひとつだけ心残りがあります。
男性の顔を見たその日、迎えに来たお母さんにいつものようにとびついたBちゃん。
しかしその日の笑顔はいつものような明るい活発なものではなく、にやりと笑うような、とても4歳の少女の作る表情には見えなかったと。
それこそまるで中年男性のような…。
そんな表情を見せたのは、その日だけだったそうです。
異変はそれで終わったのか、それともBちゃんと共に、いまもあるのか…。
Aさんは、今でも思い出すそうです。
まとめ
覚えている内容を全く同じではなく、文章として完成させるため少し膨らませたりしています。
初めて聞いた時、灰色という表現になるほど!と思ったのを今でも覚えています。
こんな感じで、怖い話もたまに投稿していきます。
それでは、また。
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